実家に帰ると朝に父が食パンとハムエッグを焼いてくれる
それが、すごくおいしくて家に帰って同じように先にバターを塗って焼いてみても、おいしくない
ある日、父から着信があった
お中元に送ったスイカのお礼かとおもっていたが、そんなとき不器用な文章で短いlineが届く
その日は、すぐに母になにかあったとわかり
折り返し連絡をした
「お母さんが入院した」
えらく動揺してソワソワしていた
「脱水症状で緊急入院した」
入院前から食べても・飲んでも吐くとのことでぐったりしていたと、泣きそうな声で
明日も様子を見に行くから連絡すると話していた
母は肺がんになったときも緊急入院した咳をしたら、白い綿が出てくると言ってそれを見た父が慌てて病院へ行った
その時親戚の1周忌で帰路していたので、紹介状を書くから急いで大阪の病院へいってくださいといわれたけど、その時は早期発見で肺の一部を切り取って肺の細胞の検査待ち
お見舞いに行くと真っ白な弱った母がベットで寝ていた
ショックだった
自分の親にも死期というものが近いのかと家に帰って旦那さんの前で大泣きした
検査の結果は…肺がんだった
早期発見で抗ガン治療もした
定期的な検査をして異常なしで先生も驚いていた
今では定期的な検査も半年に1度で転移もないしで元気にしている
入院した次の日父から着信がり
「緊急手術で病院がかわった!16時からで腸が飛び出してる」
はぁ~ん?!腸??…ちょっと待て!!
なんでも昔帝王切開でひらいた傷口部分に穴があいていてそこから飛び出してるとか…そんなことあるん?
っていうのが、なんの知識もない私の感想
おまけに傷口って…わたしが生まれたのはもう40年も前だし、産んで間もない人の傷口がひらいたとかなら聞いたことあるけどそんなことあるぅ?
太ったとかならわかるけど、どっちかっていうと痩せてるのに…意味わからんとなりながら考えていると父からまた着信で
「また病院がかわった。」
2回目の病院では設備がそろっていないので、また違う病院へ
「うまくいくように祈ってくれ」
昨日と同じように動揺している父
夕方になっても連絡がない…
旦那さんが帰って来て「連絡してみたら?」
怖い…電話をするのが…
lineで「どう?」
すぐ連絡があり
無事手術は終り飛び出していた腸は壊死していたので、切ってキレイなところをつなぎあわせたんだとか
その日は夜までまっても会えなかったので、次の日面会に行くと管につながれ口にも管があって会話できなかったと
金曜日はパートが休みだったので、父と母に会いに行った
家から遠い病院なので電車で待ち合わせをした
白髪の増えた父を見つけた
病院についてICUの文字が…ドキッとした
そんなに様態が悪いのか、面会の紙に母と父と苗字が違う自分の名前と関係のところに”子”と書く
親子なのにそれがミョーに寂しくなった
部屋の前のインターホンを押して看護婦さんが対応してくれた
母は…口の管もとれて「驚いたやろ…おなかすいたぁ~」母の第一声
いろいろなチューブはまだついたままで、手にはなにかの拍子に抜けないようにグローブみたいなものをつけていた
看護婦さんが「面会の間はとりましょうかね」
その声がめちゃめちゃデカい!!
うちの母耳遠くないですねん!!っていってやろうかとおもったら、あぁ~職業病だわとw
わたしと話す時は普通なのに、母に点滴を交換するとき
「お名前を言ってください」
怒っているわけではないけど、デッカ!!と心のなかで笑ってしまった
みんないい人で優しい人だったのでこの病院でよかったと安心した
面会は一般病棟と違って1時間
父は帰るとき「毎日来るから」と手をにぎってバイバイしていた
この光景をみるのは2回目で、わたしはこの2人の娘でよかったとおもった行動だった
わたしは親のことをあまり尊敬していない…正直好きなほうでもない
それでも、お互いを今も思い合っている両親の姿は子どもにとって嬉しいし誇りでもある
実家には、お正月いらい帰ってきた
半年帰ってきていないだけで実家は古くなっていた
こんなにも古びてしまうものかと驚くぐらい
父と2人家の中
よくしゃべる母はいない
帰ってしばらくは父は仕事をしてた
早めの夕飯…17時
いや…父上早いな…とおもいながらビールにつきあう
いつもは無口でそんなにしゃべらない父がよくしゃべる
ビールと帰りにかった佃煮を食べながら、家に帰って母がいつもいる場所にいないのにそこにいるような感じがすると
話を聞きながら読売新聞のコボちゃんの4コマを久しぶりに見る
「最近はお母さんがきっちり新聞を読んでる」
さらに新聞の人生相談を読む
「お母さんは人生相談はいつも読んでるなぁ」
わたしが実家に帰って相談をして、また久しぶりに帰ると
母が「ハチ子。これ読んでみ…あんたと同じような悩みが書いてるよ」ってよく見せてくれた
お風呂に入って2階へ布団をしきにいくと、うちの家こんな階段急だったっけ?と驚いた
父が「昔はハチ子。階段走ってたよな。年寄りは危なくてゆっくり歩いてるわw」
寝るとき布団に去年亡くなった愛犬のおしっこのシミが残っていた
この家で過ごした自分の証がいろんなところにあるのを知った
しばらくは会いに来よう
朝起きて父がいつものように食パンとハムエッグを焼いてくれた
ちょっと焦げた食パンだったけど、父が焼く食パンは世界一おいしい

